股関節の痛みは、立つ・歩く・座るといった日常動作に大きな影響を与えるため、放っておくと生活の質を下げてしまうこともあります。
本記事では、股関節痛の主な原因から、自宅でできるセルフケア方法、そして医療機関を受診すべき症状までをエターナルフィットのトレーナーがわかりやすく解説します。
日常生活で迷ったときの参考にしてください。
Contents
股関節の痛みとは?
股関節は「骨盤(寛骨臼)」と「大腿骨の骨頭」が球状にかみ合う“ボール&ソケット”の関節です。

広い可動域を持ちながら、体重や衝撃を受け止める強度も必要とされます。
骨同士が直接こすれないように「関節軟骨」がクッションの役目を果たし、周囲の「関節包」「靭帯」「筋肉(臀筋群・腸腰筋・内転筋など)」が安定性を保っています。
軟骨や骨の変化、筋肉の炎症や疲労、姿勢・歩き方のクセからくる負担の偏り、ホルモン変化や血流低下による痛みの感じやすさの変化によって、はっきりしたケガがなくても、日々の小さな負担の積み重ねで痛みが出ることは珍しくありません。
股関節の痛みの主な原因
股関節の痛みの原因は大きくわけて、5つにわけられます。
- 加齢による関節の変化(変形性股関節症)
- 筋・腱・靭帯の疲労や炎症
- 姿勢・生活習慣由来の負担の偏り
- スポーツのオーバーユース
- 更年期などのホルモン変化
多くは単独ではなく複合要因で起こるため、痛みを断定できず原因を特定するには医療機関の受診をおすすめします。
それぞれ、具体的に説明していきましょう。
1、加齢・変形性股関節症
軟骨がすり減り、骨同士の距離が狭くなることで痛みやこわばりが出ます。
初期は「立ち上がりや歩き始めの痛み」が中心ですが、進行すると歩行距離が短くなり、階段や和式動作がつらくなります。
体重管理、筋力維持、可動域(柔軟性)の確保が進行予防の基本です。
痛み止めやヒアルロン酸注射、リハビリで経過を見ることが多く、重症例では手術(人工股関節置換術など)が検討されます。
2、筋肉や靭帯の炎症・疲労
長時間の立ちっぱなし・座りっぱなし、急な運動量の増加などで、腸腰筋や臀筋群、内転筋が疲労しやすくなります。
局所の張りや鈍痛、動き始めの痛みが特徴的です。安静だけでなく、軽いストレッチと循環を促すエクササイズを組み合わせると回復が早まります。
3、 姿勢の悪さ・生活習慣
反り腰・猫背、片脚荷重のクセ、ペタンコ座り、合わない靴などは股関節に負担を集中させます。
デスクワーク中心の方は、1時間に1回は立ち上がって骨盤を前後に動かす、イスの高さを調整して脚を組む回数を減らすといった小さな工夫が効果的。
日常の積み重ねが痛みの出やすさを左右します。
4、スポーツによるオーバーユース
ランニングや球技、ダンス、ゴルフなど同じ動作の繰り返しで、腱・筋の摩耗や炎症が生じることがあります。フォームの乱れ、柔軟性不足、急な負荷アップが誘因。練習量は、週1~2日の休息を確保、フォームチェックと補強トレを取り入れることで再発予防につながります。
5、更年期やホルモンバランスの影響
ランニングや球技、ダンス、ゴルフなど同じ動作の繰り返しで、腱・筋の摩耗や炎症が生じることがあります。
フォームの乱れ、柔軟性不足、急な負荷アップが誘因。練習量は、週1~2日の休息を確保、フォームチェックと補強トレを取り入れることで再発予防につながります。
股関節痛の症状別チェックリスト
股関節の痛みは、出る場所やタイミングによって原因が異なることがあります。
症状の特徴をチェックすることで、原因の目安をつけることができ、改善のための第一歩につながります。
- 歩き始めや長く歩くと悪化する→関節や滑膜の炎症が疑われます。
- 横向き寝・階段で外側がズキズキ→大転子周囲の滑液包や中殿筋のトラブルが多め
- 曲げる・捻ると鋭い痛みや引っかかり→関節唇やインピンジメントの可能性
- 鼠径部の深い痛みは関節内の問題、臀部〜太もも後面は殿筋や仙腸関節・腰の関与を考えます。
その他、痛み方によって原因は異なるので下記も参考にしてください。
歩くと痛い
・歩き始めだけ痛く、しばらくで落ち着く → 筋肉のこわばり・初期の関節変化のサイン
・長く歩くほど痛みが増す → 変形性股関節症や炎症の可能性
・歩幅が小さくなる/足を引きずる → 早めに評価を受けると安心
夜間に痛みが強い
夜間痛は炎症の強さや関節の変化が背景にあることが多いサイン。
寝具の硬さ・高さ(特に枕と腰の支え)、横向き寝での股関節の角度(膝間にクッションを挟む)を見直すと軽減することがあります。痛みが続く場合は受診の目安です。
左右どちらかだけ痛む
片側だけの痛みは、姿勢のクセ(片脚荷重、カバンの持ち手)や左右差(筋力・柔軟性)の影響が強いケースが多め。反対側の張りや腰の影響(関連痛)もよく見られます。鏡での立ち姿チェックや、週数回の左右差改善トレが有効です。
座る・立つ動作で痛む
座位からの立ち上がりでズキッと来る場合、腸腰筋や臀筋のこわばり、関節内圧の変化が関係します。座面を少し高くする、立ち上がる前に骨盤を軽く前後に動かす、太もも前後の軽いストレッチを挟むと負担が減ります。
【動画つき】股関節痛のストレッチと筋トレ
ストレッチは「お尻(中殿筋・梨状筋)」「腸腰筋」「内もも」を中心に、1回20〜30秒×左右2〜3回。
筋トレはクラムシェル(中殿筋)、ブリッジ(臀筋・体幹)、ヒップヒンジ(股関節で曲げ伸ばしの感覚づくり)がおすすめです。
週3〜4日、合計10〜15分でも継続すると変化が出やすく、痛みが強い日はストレッチ中心へ切り替えます。
フォームを崩さず、少なく・正しく・続けるがコツです。
股関節のストレッチ
まずは、ストレッチで筋肉をほぐすことが大切です。動画つきでやり方を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
股関節クロスストレッチ
・仰向けになり足をクロスします。
・膝を反対側の床に倒していきます。
・右膝を倒す際は、右肩が床から浮かないように注意しましょう。
・ゆっくり息を吐きながら、行っていきます。
リザードストレッチ
・足を前後に広げます。
・前側の脛を床と垂直にします。
・前側の膝の位置を変えないまま、股関節を下に落としていきましょう。
・ゆっくり息を吐きながら、行っていきます。
股関節の痛みで病院に行くべき目安
下記の症状はは早めの受診が安心です。画像検査(レントゲン、超音波等)で原因を確認し、主治医と治療方針を決めましょう。
- 夜間痛が続く
- 安静時でも強い
- 発熱や腫れ・赤みがある
- 転倒など明確な外傷後に痛みや可動域制限が強い
- 歩行が困難
- 脚長差が急に目立つ
- 引っかかり感が強い、しびれや筋力低下が脚に広がる
股関節痛の3つの予防法
股関節痛を防ぐためには、日常生活での「負担の偏り」をできるだけ減らすことが大切です。
姿勢の工夫や適度な運動、そして食事への意識が、痛みの予防につながります。毎日の習慣を見直すことが、健やかな股関節を守る第一歩です。
1、姿勢改善・骨盤矯正
日頃から正しい姿勢になっているか身体を以下のポイントを意識しましょう。
立位
耳・肩・骨盤・くるぶしが一直線。片脚荷重を減らす。

座位
坐骨で座る感覚を意識。膝は股関節と同じ高さか少し下。足を組む頻度を減らすのも効果的です。

2、筋力維持のための運動
週に合計150分の中等度運動(速歩など)を目安に実施しましょう。
下肢は中臀筋・大臀筋・もも裏を優先して鍛えると、股関節の負担が減ります。
階段はゆっくり・大腿前面でなくお尻で押す意識を。フォーム優先で回数は少なくても大丈夫です。
3、栄養・サプリメントで関節を守る
体重管理の基本はタンパク質(魚・肉・大豆)+野菜・海藻+適量の主食。
ビタミンD・カルシウムは骨の健康に、オメガ3系脂肪酸は炎症コントロールに役立ちます。サプリは食事を補う位置づけとして活用ください。持病や薬のある方は、医療者へ相談してからの使用がおすすめです。
まとめ
股関節の痛みは、加齢だけでなく姿勢・歩き方・柔軟性や筋力の偏り、ホルモン変化など複数の要因が重なって生じます。
まずは「どこで・いつ痛むか」を把握し、ほぐす → 動かす → 支える(筋力)の順で土台を整えることが近道です。夜間痛や安静時痛、歩行に支障がある場合は、早めの受診で状態を確認しましょう。
エターナルフィットでは、医療×運動の視点からパーソナルトレーニングもご提供しています。専門知識を持つトレーナーがマンツーマンで寄り添い、身体に配慮したトレーニングやストレッチで筋力アップと痛みの緩和をサポートします。
まずは体験から、専門家と二人三脚で一歩を踏み出してみませんか。